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ファイナンス日記帳

証券会社の自己融資に議決権行使の方針はあるのか

3月末がやってくる。3月決算企業にとっては節目の時期。

投資家にとっては、株主としての権利(配当、優待)を確保する時期でもある。

 

四季報を見ていると、大株主に、証券会社が名前を連ねている会社がある。

パッと見では、ああ証券会社が株をもっているんだなで済んでしまう。

 

とはいえ、証券会社も3月の権利を確定させれば、6月の総会には議決権行使の用紙が送られてくる。果たして、この証券会社は、どのような議決権投資行動をとるのだろうか。

ちなみに、日興アセットマネジメントはこのように定めている。https://www.nikkoam.com/about/vote

 

そもそも、証券会社が大株主に名前を連ねている場合、

①証券会社の投資勘定で持っている場合

②自己融資で持っている場合

 

が考えられる。他にも、IPOで引き受けた売れ残りというのもあるかもしれないがそれは除く。

①の場合は、証券会社が政策的に保有することを決めているのであるから、投資先に対しても真面目な投資行動、シビアな要求をすることが考えられる。株主還元の要求とか役員の交代とか、投資家として当たり前のことが行われると思う。

 

②の場合、これが今回のポイント。

自己融資というのは、お客さんが、1,000円×1,000株の信用取引の買いをしたら、売買代金は100万円となる。

自己融資の場合、誰が100万円を取引所に払うかといえば、証券会社が、自己資金から支払い、お客さんに買付代金を融資する形を取る。もちろん、証券会社は1日単位で金利を取る。これを自己融資といい、株券の名義は証券会社のものとなる。

一般的には、日本証券金融からお金を借りるのであるが、最近では、証券会社自身が低利で資金調達を行い、信用顧客に対して、信用取引の買付の代金を融資している。貸金業みたいなものを、信用取引の顧客に対して行っている。

今は金利水準が低いが、金利上昇局面では、利ザヤが拡大して、証券会社の収益に貢献すると思う。

 

このようにして入手した自己融資の株券は、いわゆる良く動く株、仕手株、低位株が多い。だって、信用取引の対象だから。思惑いっぱい、夢いっぱいな株が多い。期末の株主名簿に登場する証券会社の裏側には、個人投資家の思惑と欲望が渦巻いている。その代表名義人が証券会社となっている。

 

では、期末を迎えて、証券会社は株主としての権利を確定したとする。自己融資で得た大株主の地位を、証券会社はどのような議決権行使をする方針なのだろうか。

 

信用取引に係る証券会社の保有担保株式の議決権行使
の在り方に関する懇談会報告書
2011 年10 月11 日 日本証券業協会

http://www.jsda.or.jp/shiryo/houkokusyo/files/sinyoutorihiki..pdf#search=%27%E8%87%AA%E5%B7%B1%E8%9E%8D%E8%B3%87+%E8%AD%B0%E6%B1%BA%E6%A8%A9%E8%A1%8C%E4%BD%BF%27

 

日本版スチュワードシップ・コードとか、無配で赤字が連続している会社に大上段から振り下ろしますか?まあ、自己融資で一時的に保有しているだけ、担保として預かっているだけの証券会社を機関投資家とか、資金の運用先と言えるかどうか議論はあると思う。

 

自己融資名義の株券は絶好のモノ言わぬ株主のような気がする。ネット証券系は自己融資残高が多いので、社内では、議決権行使について検討していると思うけどね。

低位株の会社から見たら、自己融資名義の証券会社は、何も言わないのであれば、大きな味方だと思うし、自己融資名義の大株主がモノを言うようになったら、市場も変わると思うがいかがだろうか。

自己融資先がどんなにお手盛りの議案を出してきても、無条件で「賛」に〇をつけるのはどうかと思う。要はそういうことだ。