株主総会の季節がやってくる。
株主総会の季節になると必ず話題になるのが、
株主総会の集中日の問題である。
以下は、2018/5/16の日経電子版の過去の記事から。
下線部分は筆者。
(引用はじめ)
6月の株主総会集中、再び上昇 会場確保に限界
2018/5/16 20:30
日本経済新聞 電子版
株主総会の開催日を分散する流れが一服している。日本経済新聞社が15日までに総会日程を公表した3月期決算企業を調べたところ、今年の集中日である6月28日に開く企業は30.8%だった。データがある1983年以降で最低だった昨年(29.6%)から上昇した。株主が参加しやすいよう分散を模索する企業は多いが、会場確保などの限界も表面化している。
(中略)
限界もある。株主総会は議決権を行使できる株主を決める「基準日」から3カ月以内に開く必要がある。3月期決算企業の多くは基準日を決算期末と同じ3月末に設定。総会も分散したとはいえ6月下旬に固まる。今年は6月26~28日で約65%に上り、各社は限られた期間で会場を取り合う。
株主との対話を深めるにはさらなる分散が不可欠だ。大和総研の鈴木裕主任研究員は「決算や総会の事務作業の大幅な前倒しか、基準日の変更が必要」と指摘する。
(引用終わり)
基準日の変更が必要と言っているが、基準日=決算期末でないといけないのでは?と思う方も多いと思うが、法務省は次のように言っている。
会社法第296条第1項は,株式会社の定時株主総会は,毎事業年度の終了後一定の時期に招集しなければならないものと規定していますが,会社法上,事業年度の終了後3か月以内に必ず定時株主総会を招集しなければならないものとされているわけではありません。
(中略)
なお,議決権行使のための基準日を定める場合,基準日株主が行使することができる権利は,当該基準日から3か月以内に行使するものに限られます(会社法第124条第2項)。
参考 会社法
(基準日)
第124条 株式会社は、一定の日(以下この章において「基準日」という。)を定めて、基準日において株主名簿に記載され、又は記録されている株主(以下この条において「基準日株主」という。)をその権利を行使することができる者と定めることができる。
2 基準日を定める場合には、株式会社は、基準日株主が行使することができる権利(基準日から3箇月以内に行使するものに限る。)の内容を定めなければならない。
ということは。
つまり、会社法上は、基準日から
3か月以内に総会を開い
て権利行使ができればよいので、
事業年度終了=基準日とするのは
会社法上マストではない。
そこでですよ。
われらが窪田製薬のホームページを
見るとこうなっている。
図にすると次のようになる。
なんと斬新な。
12月決算なのに、基準日を2月末にして、
株主総会を5月頃に開催するという。
でもこれは、3月決算の会社もできるんじゃない?
投資家からみても、
①事業年度末=基準日の場合、
期末業績、期末配当について、3月末の時点では、まだ予
想値を信頼して投資するしかない。
従って、決算発表で、決算が悪かったり、配当が予想より
低かった場合、失望売りをせざるを得ない。
(当然その逆もあるが)
これが、窪田製薬方式のように決算日から2か月後が基準
日であれば、2か月の間に決算発表が行われるので、よく
も悪くも、投資家は決算発表を見たうえで、権利を取りに
行くかどうか決めることができる。
もちろん、決算の内容によって、株価が変動する点は同じ
だが、投資家目線からすれば、決算を期待して飛び乗り、
悪くて飛び降りることはなくなる。
②株主総会の集中日の解消が期待できる。
会社の本音としては、大勢の投資家が来場できるような会
場の手配が大変とはいっているものの、他の会社と同じ日
に開催して、来場する投資家の人数を増やしたくないのだ
ろう。
窪田製薬は、もともと外国株扱いで上場したアメリカのア
キュセラ・インクがもとになっているので、基準日の取り
方も海外とのやり取りを想定して時間を取ったスケジュー
ルにしたのだろうが、事業年度末≠基準日で上場している
のであれば、上場企業として認められた方式である。
東証の市場改革を行うようであるが、このような投資家に
向かう姿勢について少しでもメスが入るとうれしい。
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