確定拠出年金の運用実績

ファイナンス日記帳

ラジオ短波

気分が憂鬱だ。
季節的なものだろう。
初めて勤めた銀行を辞めたのも
今頃だったと思う。
鬱病ではないが、抑うつ症状で銀行を休んだ。

その時はやることがないから、短波ラジオを聴いていた。
1990年代後半は、インターネットはあったものの、
通信料金が高く常時接続はしていなかった。

平日なので、株式市況が中心だ。寄り前は
西田三郎商店がお送りする外国為替速報が
流れた。
当時は銀行の不良債権問題で、銀行株は
売り気配ではじまるのが恒例だった。
さくら銀行〇〇〇円売り気配、富士銀行〇〇〇円売り気配・・・。

立合場の末期で、人がいるにはいたが、閑散として
たまに大商いが決まると拍手が起こっていた。

昔はアナウンサーが一から株価を読み上げていた。
極洋から始まる。
全銘柄聞くのが面白かった。
なんかいかにも相場に足を突っ込んでいる、少し怪しい感じがよかった。

一部略称で呼ばれたり、俗称で呼ばれた銘柄があって感心したり、面白がったりしたものだ。
読み上げるアナウンサーにも個性があり、遊び心がある人もいて
株価を聞いているうちは現実逃避感があって楽しめた。
何かの抑うつに利く薬を飲みながら、朝から布団にもぐって聞いていた。
引きこもりの1歩手前のようなものだ。
社会とのつながりは短波ラジオしかなかった。
株で儲けて、遅れを挽回したかった。

何で俺がこんなことになるんだ。
これまで優等生で来たじゃないか。
やりたいことを我慢して来たじゃないか。
それがこの結果ではもっと遊んでおけばよかった。
先生や親の言うことなんて聞かなくてもよかった・・。
いい子である必要はなかったが、いまごろ気が付いても遅い。

クソ―っていう気持ち、焦りに似た怒りがどこかにあった。

ただ、相場は3時に引ける。
その後の短波放送はつまらなかった。

会社を休んでいるし、同期とは飛んでもなく差が付いてしまっているし
自分は社会から脱落してしまったんだという気持ちが常にあった。
3時以降はよりいやな気持になった。
急に現実に引き戻された感じがしたから。

銀行のシャッターを下ろしたあとの業務が蘇ってきてしまう。
出納業務はいやだったなとか、現金残がなかなか合わなかったなとか。
両替機の1000円札のボックスに5000円札を入れて、後で気が付いて冷や汗かいたとか。
そろそろ店外ATMに補充の時間だなとか、そんなことばかり考えていた。

次に就職する時は証券会社もいいなと思った。
ただ、ノルマがキツイので、ノルマのない会社がいい、そんな会社がないかと探した。
昔のプレジデントに某証券会社の特集があり、そこはノルマなしで定時に帰ることができると
あり、中途採用がないか探した。
というかさもしい考えで、大学院に行って
学歴ロンダではないが、再度新卒?カードを手に入れようと思った。