「不良品を返品したい」非正規雇用で貧困に苦しむ中年フリーターたち
自分もそうだ。
40代中盤に差し掛かって、自分がスーパーのレジの派遣をやるなんて思ってもみなかった。
生活のためには仕方がない。自分の生き方、人生の選択が間違っていたんだ。
自分は、社会的に存在価値は無いんだ。そう思うことにした。
こうなると学歴、職歴なんて関係ない。自分は、単なる動くモノ、時間を切り売りする労働商品、賃労働者。
一気に目の前が暗くなる。生活のため、子供たちのためと割り切るしかない。オッサンはつらいよ。
そんなの自業自得だ、上から目線だからダメなんだとの声が聞こえる。
はい、派遣の仕事があるだけ有難いと思うようにします。
社会全体から見たら、今時40過ぎて、こんな人達もいるんだ程度の認識だと思う。
切られるやつが悪い、要領の悪いやつが悪い、コミュニケーション能力がないやつが悪い。正社員様から見たら、だからどうしろと。国は外国人を入れようとしているというのに、中年の面倒なんか見てられないよと。
この問題は、ある意味、戦争体験者とそうでない人との関係に近いかもしれない。
戦争は悲惨だといっても、実際に体験した人と、戦後生まれの人では全然モノの捉え方が違う。戦中世代の人が、戦後世代に向けて戦争反対と言っても、ピンとこないのである。それと同じ気がする。
日本はドブ板一枚踏み外したらおしまいの社会。
流れから外れてしまったらもとにもどれない。
朝の通勤ラッシュの人の流れに逆らうようなもので、自分の行きたい方向には行けないのである。
日本は、サラリーマン天国だと思う。社会保障も、年金も。有給だってあるし。
フリーの場合、病気、怪我したら何の補償もないしね。
サラリーマンは出張に行っても交通費はもちろん、日当も出る。
フリーの場合はそうはいかない。すべて自腹である。
でも、サラリーマン時代は自由になりたくてしょうがないんだよね。
会議がうっとおしいとか、人間関係がとか、強烈なお局がいるとか。
人間は無いものねだりをするように、わがままにできていると思う。
偉大な先人は、「およげたいやきくん」という曲を残してくれた。
最初は自由で楽しいが、食べていけなくなって、岩場の陰の釣り針に食いつくことになる。
釣り針に飛びついても結局釣り上げられて食べられてしまうけどね。
ただし、それは若いたいやきに限るようである。オッサンたい焼きには釣り針はいくら待っても出てこない。
まだ、店のおじさんのところに戻れる機会があるだけいい。
オッサンはゆるやかに、死ぬのを待つのである。
今は比較的景気がいいが、景気後退期になったら今の20~30代が間違いなく
リストラの対象になる。今、これを読みながらメシウマと言っている人たちが
20年後、何人残っているだろうか。みんな自分だけはそうならないと思っているだろうが、何割かはしっかり落とし穴に入ってしまう。
そして、這い上がろうとしても、お決まりの「年齢が」「経験が」でゲームセットである。
80年代の人気俳優が、スーパーで「バイト」をしていた姿を写真に撮られ話題になり、それが「働くとはどういうことか」ということを喚起してさらに注目を集めているそうだ。
https://www.pen-online.jp/news/newsweek/2018_08/1/
ジェフリー・オーウェンズという人を知らないが、彼は俳優としての誇りは失っていないと思う。どんな仕事にも価値はある。それを信じて生きて行きたい。しかし、社会の見る目は厳しい。わあ、オッサンがレジのバイトをしているよ・・。
でも俺は、家族のために、元気に「ポイントカードはお持ちですか?」と聞くよ。