中年のオッサン(自分)がレジに立っていると、
ものすごい勢いでレジの前まで来て、ペットボトル1本を差し出すお客さん。
相手も中年のオッサンだが、姿勢がちょっとおかしい。
体をかばうように左手を不自然に寄せている。
よく見ると、相手の男の服の下には、ポテトチップスの袋が見える。
えっ?それはレジに通さないの?と思う間に、お金を払って店を出ていってしまった。
万引きだ。やられた。
正直何がなんだか分からなかった。
レジ係として新顔である、自分を狙った犯行なのか。
かと言って、もしもしお客さん、そのポテチは何ですか?と聞くのは怖い。
怖い理由として、他の店で買ったものだった場合、こちらは万引き犯として
疑ったことになる。(だったら、不自然な恰好するなよ)
逆切れされても困る。
たかが、アルバイトの身分で、面倒なことになったらいやだ。
とはいえ、何も確認しないのも変だ。
一人で葛藤している。
見て見ぬふりか?
相手が悪いのに、気づきながらも声をかけなかったことで
こちらも悪いことをしてしまったような感情を抱いてしまう。
そもそも、自分の店の客層は、はっきり言って、良くない。
少なくともお上品な人たちではない。
まともな神経ではこちらがやられてしまう。
かと言ってあからさまに見過ごすのも癪に障るというものだ。
実は、そのオッサンには2回やられている。
次は声をかけようか、声をかけるとしたらどのような声かけがいいのか。
店の人には言っていないんだけど、どうしたもんか。
顔はよくおぼえていなんだよね。